【NAVI】チョイス@病気になったとき「子どもの食物アレルギー」

 Eテレ『チョイス@病気になったとき』では、3月5日(土) に「子どもの食物アレルギー」が放送されました。時に生命に関わる子供の食物アレルギーについて、番組で取り上げた「食物負荷試験」「経口免疫療法」を受診可能な医療機関の検索など追加情報をご紹介します。

つらい食物アレルギー

 お子様が食物アレルギーを持っていると、いったん症状が現れた時の本人の苦痛はもちろん、食事にアレルギーを引き起こす成分が入っていないかすべて確認したり取り除いたりしなければならないなどご家庭の負担も大きなものです。また誤って摂取してしまうのではないかと日常的に不安を感じながら食事をしなければならないのも辛いですね。

 「食」は楽しみであるのと同時に生命の維持に直接つながるものであるだけに、アレルギーの問題は生活の質に大きく関わります。近年、医学研究は急速に発展しており、お子様の食物アレルギーについてこれまでとはまったく違った対策もとられるようになってきました。

 3月5日の『チョイス@病気になったとき』では、そうした新しい研究の中から「食物負荷試験」と「経口免疫療法」を取り上げ、その内容を紹介しました。

食物負荷試験とは?

 食物負荷試験(食物経口負荷試験)とは、アレルギーの原因となる食物を実際に少量ずつ摂取し、反応が出るボーダーラインを確かめる検査です。試験の途中でアレルギー反応が起きる場合があるので、その際に対応できるよう、必ず設備の整った病院で専門医の指導のもとに行わなければなりません。

 食物負荷試験は外来試験または入院試験のいずれかで実施されます。それぞれの方法や費用などについて具体的な例を見てみましょう。

 こちらは、リウマチ・アレルギー疾患の基幹医療施設として位置づけられている “国立病院機構 相模原病院” の場合です。(試験の方法・費用等は各施設によって異なりますので、下記のリンク先などでお近くの施設を調べ、事前にお確かめください。)

・外来食物負荷試験
【方法】
自宅で調理した食物を持ってきていただき、外来で13時00分から14時00分にかけて数回に分けて摂取します。15時00分まで経過を観察し、16時00分頃に担当医の診察があります。
【費用】
3割負担で3,000円程度です。

・入院負荷試験
【方法】
入院の上、栄養課で調理した食物を10時00分~11時00分にかけて数回に分けて摂取します。
【費用】
3割負担の場合1泊2日で3万円前後、2泊3日で4万円前後、3泊4日で5万円前後です。保険診療内でまかなわれますが、入院中の食事代、個室の差額ベッド代は別途必要になります。
乳幼児医療受給者証をお持ちの方は1泊2日入院で外泊の場合は食事代260円、宿泊の場合は食事代780円です。(平成24年現在)

立行政法人国立病院機構 相模原病院 小児科より引用

※相模原病院での食物経口負荷試験について、より詳しい案内は――
外来→食物アレルギーの治療について~食物経口負荷試験について
入院→入院食物負荷試験のご案内

新しい取り組み「経口免疫療法」

 こうした経口負荷試験によって症状が現れる量を調べ、専門医の管理のもとで安全な量を少しずつ食べていくことで身体を慣れさせて耐性をつけようという新しい治療法が「経口免疫療法」です。

 これまで成長に伴って耐性がつくのを待つしか方法がなかった食物アレルギーのお子様やご家族にとって画期的な治療法と言えるでしょう。しかし、現在のところまだ研究段階にあり、治療の途中で症状を誘発したり副作用を引き起こす危険性を持っています。こちらも食物負荷試験と同様、必ず専門のお医者さんの指導のもとで行わなければなりません。

 経口免疫療法は「増量期」「維持期」「確認試験」の3段階によって構成されます。実際の方法については次のリンク先が参考になります。
相模原病院「経口免疫療法とは」

近くの専門医・施設を探す

 アレルギーについての情報を入手したり、近くのアレルギー専門医や食物負荷試験を受けられる施設を探したりするには、次のリンク先が便利です。

一般社団法人日本アレルギー学会
・一般向けコンテンツ(アレルギーについての知識・Q&Aなど)
一般の皆様へ
・アレルギー専門医・指導医リスト(都道府県・専門などの条件で検索できます)
日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)

食物アレルギー研究会
・食物経口負荷試験実施施設一覧(食物経口負荷試験を実施している施設のリストを地域ごとに見ることができます)
負荷試験実施施設一覧(平成25年度実績に基づくリスト)

アナフィラキシーってなあに.jp[ファイザー]
・食物アレルギーについての解説
食物アレルギーってなあに?
・医療機関検索(エリア・診察内容などの条件で検索できます)
アナフィラキシー対策の相談ができるお医者さんを調べる

番組情報

チョイス@病気になったとき「子どもの食物アレルギー」
2016年3月5日(土) 20:00~20:45 Eテレ
・再放送 3月11日(金) 午後0:00~午後0:45
出演専門医・専門家 大矢 幸弘(おおや・ゆきひろ)氏
国立成育医療研究センター アレルギー科 医長
※国立成育医療研究センター ウェブサイト→https://www.ncchd.go.jp/

☆チョイス@病気になったとき

【放送スケジュール】
毎週土曜 20:00~20:45 Eテレ
※再放送 毎週金曜 12:00~12:45
【出演】
星田英利、浜島直子、小山径アナウンサー ほか